2016年11月07日

君の名は。神道と古事記と(ネタバレ注意)

君の名は。を観に行ってきました。
久々のブログ更新ですが、今回はこの映画について振り返ってみたいと思います。

新海誠監督の作品は初めて観ました。
公開が始まった時に、特に思い入れはなく家族が観に行った話を聞いて興味が湧いたような感じです。
RADWIMPSのサントラを聴いたりする内に次第に「観たい!」と思うようになっていきました。

思春期感満載の胸キュンストーリーですが、それだけじゃないメッセージが幾重にも散りばめられているように感じました。

特に私が感じたのは、古事記とのリンクです。
映画最後に三葉と瀧が声を掛けるというシーンがあります。
二人が相手を互いに意識しながら、三葉は階段を下り、瀧は上っていき何も話さずすれ違います。
その後、二人は立ち止まり瀧が三葉に声を掛けます。
ここで三葉も涙を流しながら応えるという印象的なシーンがあるのですが、観た後にしばらくしてから
これって古事記の伊耶那岐(イザナギ)と伊耶那美(イザナミ)が声を掛ける順序に似ていると気付きました。

古事記では、次のような国産み神話があります。

まず初めに女性であるイザナミが「なんて素敵な男性なのでしょう」と言ってイザナギに声を掛けてから結ばれます。ですが、この後国産みがうまくいきませんでした。
それで天の神に占ってもらったら、「女性から声を掛けるのはよくないから戻って言い直しなさい」というお告げがありました。
このお告げの通りに、今度は逆に男性であるイザナギから「なんて素敵な女性なんでしょう」と声を掛け結ばれました。
その後の国産みで大八島(日本列島)が産まれたというお話があります。

ちなみにイザナギとイザナミは同時に生まれた一組の男女の神です。
君の名は。の三葉と瀧も二人で一つのような、ツインソウルのような印象を持ちました。
映画の中でも「かたわれ」と言っていましたね。
イザナギとイザナミ、三葉と瀧はそれぞれ二人でひとりという、互いに無くてはならないお互いを補完するような存在なのだと思います。

映画の中では、三年のタイムラグがある三葉が、中学生の瀧に会いに行くというシーンがあります。
このシーンで最初に声を掛けたのは三葉なんです。
勇気を振り絞って満員電車の中で声を掛けるのですが、
三年前の瀧は三葉を知るはずもなく、三葉は瀧から「誰?お前」と言われてしまいます。
失意の三葉。
古事記のように、女性から声を掛けるとうまくいかない二人。
でもここで名前を聞かれ、組紐を瀧に渡します。

出会った時に声を掛けるのが男性からだとうまくいく…まさに古事記とのリンクだと感じました。

後で、三葉という名前は古事記に出てくる神から取った名前だと知りました。
新海誠監督がツイッターで「三葉の名の由来、直接的にはミヅハメ、水の女神からです。」
とつぶやいていたそうです。
やっぱり!という感じがしました。
イザナミが産んだ尿の神の名前が弥都波能売神(みづはのめのかみ)って言うんです。

この映画の中では「結び」とか、古事記とリンクする言葉が他にも散りばめられています。
古事記には高御産巣日神(たかみむすびのかみ)という神が出てきます。
また結びには「むす(生命)」、「び(太陽)」という意味があるそうです。

小説の君の名は。には、おばあちゃんのこのような台詞があります。
「糸を繋げることもムスビ、人を繋げることもムスビ、時間が流れることもムスビ、ぜんぶ同じ言葉を使う。それは神様の呼び名であり、神様の力や。ワシらの作る組紐も、神様の技、時間の流れそのものを顕しとる」

「全部同じ言葉を使う」
何気ない台詞ですが、この映画のタイトル「君の名は。」は名前が大事なんだというメッセージを帯ていると感じました。

新海誠監督は、こんな風に日本の若い人達に向けて、神道や古事記の神話をメタファーとして発信してくれたことに本当に感激です。

戦前は古事記を子どもが習うのは当たり前だったそうです。昔の教科書にも古事記の話が載っていました。
それをGHQが禁じてから、日本に誇りが持てなくなってしまった日本人。
でも映画というたくさんの人に届けられる媒体で、こんな素敵なストーリーに乗せて日本の神話を含めて語ってくれたということに、心から喜びを感じています。




posted by やまと at 12:10| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。

「君の名は。」の三葉と瀧はイザナギとイザナミなんですね!
知りませんでした。
教えてくださってありがとうございました。
日本神話を知らない若者が、知らないうちに神話に触れあっていたのですね。
新海監督を見る目が変わりました。今後の作品にも注目したいです。
Posted by はなみずき at 2017年01月20日 00:21
はなみずきさん
コメントありがとうございます!
この記事を書いてから、新海監督の過去の作品を全部観てみました。
進化し続けていっている監督だと感じたので、私も今後の作品に注目したいと思っています。
Posted by やまと at 2017年02月23日 10:45
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